最近、シナリオを書く仕事が多いのですが、締めきりに間に合うのならば、合間にコラムを書いてもいいと言われたので(挨拶)。
と、いうわけで、フジカワです。
僕は兵庫県民なので、京都や奈良は、一応行動圏内です。
神社仏閣巡りをしたいなと思うと、特に京都には数多くあるのは、周知の事実……であるがゆえに、行きたい場所がありすぎて困る今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回の記事は、「誰も知らないであろう、パワースポットへ!」とかいった話です。
事の発端
さて。日々、まったく不安ではない人、というのも、そうはいらっしゃらないかと思います。
生きている以上、悩みの類なんかも、それぞれおありかと。
僕なんかも、懸賞小説に応募したことなどを筆頭に、日々モヤモヤしているわけですよ。
神仏にすがりたい、と思うのも、そんなに不思議な話ではない、はず。
じゃあ、神社で願掛けするか? ってなるじゃないですか。
実際、先日のお伊勢参りも、そういう神頼み的な側面が、多分にありましたし。
神社というところも、空気感の違い一つ取ってみても、なかなかに侮れないと申しますか、結構いいもの。
どうせなら、という言い方はおかしいですが、よりパワーの強い神社を巡りたい。
そんな時のYouTube。いや、普通にネットを検索してもいいのですが、そこはそれ、フィーリングの問題です。
で、ですね。なんか、神戸市灘区の、六甲山中に、知る人ぞ知るパワースポットな神社があるとのこと。
曰く、「参拝するのも命がけ!?」などと。
僕は伊丹市在住なので、神戸市まで行くことぐらい、どうってことはない。
よし、いっちょ挑むか! となったわけです。
どんな神社か?
神社の名前は、「六甲比命大善(ろっこうひめだいぜん)神社」。
御祭神は、瀬織津姫(せおりつひめ)。
瀬織津姫は、古事記にも、日本書紀にも出てこない神様です。
(その代わりに、「大祓の祝詞(おおはらえののりと)」には登場します)
天照大御神の荒魂(あらみたま)であるとか、天照大御神の妃であるとか、龍神であるとか、あるいは弁財天と同一であるとか、諸説があります。
まあまあ、スゲエ神様であることには変わりないらしい。
そして、六甲比命大善神社は、全国に数多ある、瀬織津姫を祀る神社の総本山とも言われているとのこと。
険しいか知らんけど、六甲山だし?
はい来ました、地元民特有の舐めプ。
ただ、YouTubeをいくつか観ると、足場が悪いらしいので、一応、トレッキングシューズを調達し、いざ出発!
序章
まず、阪急電車で、六甲駅まで。
そして、六甲駅から、バスで、六甲ケーブルの「ケーブル下」駅へ。
ケーブルカーに乗って、「六甲山頂」駅まで着いたなら、そこからは、山上バスで。
「アスレチックパーク前」というバス停で降り、いざ!
ホテホテ歩いて行くと、案内板が。
矢印が示す先は、どこをどう見ても、獣道。
鳥居があるわけでもなく、神社らしくもなく、本当に秘境と言っていいかも。
事前の情報通り、足下は相当危ない。
「一応」登山道はあるのですが、お世辞にも「整備されている」とは言えない。
トレッキングシューズでなかったら、絶対に滑って転ぶ。
そんな、変な自信さえありました。
つか、マヂで「緩慢なぐらいに慎重に、一歩ずつを確かめて」歩かないといけない。
携帯の電波すら届かない山中を分け入ること、しばらく。
どう考えても、いにしえの人工物にしか見えない、巨石が。
これは「雲ヶ岩」と呼ばれるもので、法眼上人が、この岩の上で、紫の雲に乗った毘沙門天に遭われた場所とのこと。
毘沙門天なら、仏教じゃね? と思われるかも知れません。
しかし、「六甲比命大善神社」自体、「六甲山吉祥院多聞寺」というお寺の、奥の院という位置づけです。
神仏習合、を考えれば、特に不思議ではない話かと。
手を合わせて、下へ降ります。
こちらが、「仰臥岩」と呼ばれるもの。
右手の石碑には、「華山法皇」、「熊野権現」、「佛眼上人」と彫られています。
そして、左手の祠には、八大龍王が祀られているとのこと。
ここも拝んでから、さらに下へ。
お社に到着。
全体写真を撮り損ねたのですが、大変慎ましい構えです。
通常は、鍵のかかっていない本殿内へ自由に入り、無人販売形式で、お神札やお守り、あるいは書き置きタイプの御朱印等を授与できます。
が、僕が行ったときには、神社を管理する方が、お社の前にテーブルを出しており、そちらでお神札などを販売(?)なさっていました。
あるいは、他の参拝者のために、神社の由来とかを解説してもいらっしゃいました。
僕も、お神札と御朱印を頂きました。
このお社の、右の隙間を進むと、奥に祭殿があります。
慎ましいがゆえに、逆に神々しい祠。
しっかりと手を合わせました。
比類なき圧!
お社を離れ、さらに下へ降りると、こんなものが。
「心経岩」と呼ばれる巨石。
平らな表面に、般若心経が彫られている。
もっとも、今のものは、大正時代に再建されたものらしいですが。
スケールのデカさに圧倒されますが、まだ序の口。
ここでも手を合わせ、なおも下へ。
これが、ご神体の磐座(いわくら)なのですが、このアングルだと、ちょっと分かりづらいですね。
正面から撮ったのが、こちら
ウサギの形をした、巨大な岩。
一説に、縄文人が作ったとも言われています。
こんな巨石を、どうやって? という、大いなる謎はあれども、ロマンには変わりない。
……と、申しますか、この磐座から、ものすごい「圧」を感じました。
冗談抜きで、足がすくんで、めまいを起こす程度。
ご神気、なのかどうかは分かりません。
ただ、何か、人間の根源的なものを揺さぶられる感覚がしました。
便乗者n号
そうなんですよね。
なんか、昨今のスピリチュアル界隈では、瀬織津姫が、ちょっとしたブームの様子。
そのせいか、ひっそりしているはずの神社にも、結構な参拝者がいました。
僕が目視した限りでは、4~5人ですが、「携帯の電波が届かないほどの山の中」という場所を考えれば、かなり多いと思います。
……結果的に、ブームに乗っかった便乗者n号になってしまい、ぐぬぬ。
とりあえず、回るところは回ったので、そのまま帰りました。
パワーは感じた
別に、参拝したからと言って、即座に何かが変わるわけではないですし、そんな場所があったら、逆に怖い。
ではあっても、ご神体の磐座を拝めただけでも、いい経験でした。
あの「圧」は、普通に暮らしていれば、まず遭遇できないほどだと思いますし。
気楽に行けない場所ではあります。
しかし、近隣にお住まいの方は、「万全の準備をした上で」、ご興味があれば、訪れてみてもいいかも知れません。
地元の六甲山とは言え、立派な山であることを思い知りました。
自然の山や岩を信仰するという、古代神道の流れ。
それに触れることができるのは、割と貴重だと思うのですが、どうか。
嗚呼、アラフィフパワースポット一人旅。
んじゃまた。
文章:フジカワ