出典:COPYRIGHT 2022 TELECOM STAFF Inc. ALL RIGHTS RESERVED.
『小さな村の物語 イタリア』は、イタリアの紀行・ドキュメンタリー番組です。
BS日テレで土曜日の 18:00~18:54 に放送されています。
筆者は、この番組を新しいかたちの癒し番組として捉えることができると思います。
毎回ひとつの村を紹介するシリーズとして、このコラムもお送りします。
はじめに
この番組では毎回イタリアの田舎の小さな村が選ばれます。
そこに暮らす村人の、気候や風土に合わせて生きる姿がありのままに描かれます。
山地や海辺といった豊かな自然のなかで、家族や友人とともにつつましくもたくましく生きる村人たちの生活が、観るものにやさしい癒しと、じっくりと生き方を見つめる力を与えてくれます。
どんな番組?
今回は、ポルティコ・ディ・ロマーニャ(エミリア・ロマーニャ州)という村をご紹介します。第340回の放送です。
トスカーナ州との間に、山間に流れる小さな川に沿ってつくられた村。
14世紀の建物が今も使われています。長く畜産やブドウ栽培が行われてきましたが、ここ数十年は観光に力を入れ、今では国内外から多くの観光客が訪れるようになりました。
ロザンナ・ガッゾッティさん
元小学校教師のロザンナさんは、心温まる村の雰囲気を作りたいと、伝統的なクリスマスの飾り物「プレぜーべ」を長年作り続けてきました。
少し前に最愛の夫に先立たれ、悲しみに沈んだ彼女を支えるのは、アフリカ難民の青年。
夫が存命のときから家族のようにしてきた青年を養子として迎えた夫の思い。
その青年が、家族としてロザンナさんとともに暮し、今度は恩返しをしています。
ルイーサ・ギロッティさん
パートナーとともに、自家製チーズや精肉を生産・販売しているルイーサさん。
熱意のこもった営業の成果により、コロナ禍においても多忙な日々を送っています。
明るく行動的な性格の持ち主で、子育てにもひとつの芯の通った考え方を持っています。
兄弟の間で比較をせず、それぞれの個性を磨くことが大事だと、ルイーサさんはいいます。
見どころ
難民の青年を家族として迎え入れ、親切にしてきた老夫婦。
主人を亡くした奥さんを支えることにより、青年は恩返しをします。
助け合いの精神が、とてもすばらしいです。
コロナ禍でも精一杯生きる女性の、一本筋の通った考え方にハッとさせられます。
村のなかで、助け合って生きる、昔ながらの味わい深い暮らし。
そこに、癒しのもとが見つけられないでしょうか。
番組の公式サイトでは、下記のような紹介がなされています。(以下引用)
”美しく生きるということ…。
気候や風土に逆らわず、共存しながら暮らす。
先人たちが築き守ってきた伝統や文化を誇りに思いながら生きる。
人間本来の暮らしが息づく「小さな村」が今、注目されています。
海を臨む小さな漁村、山肌にはりつくように佇む村、雪に覆われた山間の寒村…。
古き良き歴史と豊穣の大地を持つイタリアで、心豊かに生きる人たち。
〝豊かに暮らす 美しく生きる〟とはどういうことなのか。
私たちが忘れてしまった素敵な物語が、小さな村で静かに息づいていました。
番組ではありのままの時間の流れを追い、
村人たちの普段着の日常を描いていきます。”
おわりに
仰々しくないかたちで、美しく生きるとはどういうことなのかを深く考えさせる、静かに落ち着いた番組です。それでいて、ぜんぜん説教臭くありません。
美しい風景が楽しめるところも、幸せポイントです。
自分の生き方をもう一度見つめなおすことができ、癒しを得られます。
幸せについて考え直すきっかけになるこの番組を、強くおすすめします。
文章:curando