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『小さな村の物語 イタリア』は、イタリアの紀行・ドキュメンタリー番組です。
BS日テレで土曜日の 18:00~18:54 に放送されています。
筆者は、この番組を新しいかたちの癒し番組として捉えることができると思います。
毎回ひとつの村を紹介するシリーズとして、このコラムもお送りします。
はじめに
この番組では毎回イタリアの田舎の小さな村が選ばれます。
そこに暮らす村人の、気候や風土に合わせて生きる姿がありのままに描かれます。
山地や海辺といった豊かな自然のなかで、家族や友人とともにつつましくもたくましく生きる村人たちの生活が、観るものにやさしい癒しと、じっくりと生き方を見つめる力を与えてくれます。
どんな番組?
今回は、ライヤティコ(トスカーナ州)という村をご紹介します。
第354回の放送です。
イタリアの中部、トスカーナの美しい丘にたたずむ村がライヤティコです。
糸杉と麦畑が広がる田園には、「テアトロ・デル・スィレンツィオ」(静寂の劇場)という名の劇場があり、一年のうちに一度だけ、村出身の有名歌手アンドレア・ボチェッリが舞台に上がります。
その日以外の364日は、心地よい風と小鳥のさえずりだけが響きます。
そんな静かな村の、ふたりの男をご紹介しましょう。
バルド・パンターニさん
新聞販売店を経営するバルドさん。
村の広場にあるお店を一年中休まずあけています。
新聞売りから始め、のちのは生活雑貨なども扱うようになり、村人たちの暮らしに必要なものを揃えています。
朝早くから広場から遠い家まで新聞を届けます。
87歳になっても、まだまだ現役のバルドさんは、村の救急隊のボランティアもしており、村人たちからの信頼がとても篤いです。
ピエールルイージ・ミケレッティさん
今はIT会社経営者として精力的に活動されているピエールルイージさん。
電話会社で働いていたころから、朝食の準備や子供の送り迎えなど、子供と過ごす時間を大切にしていました。
子供のころ両親が離婚し辛い気持ちを味わったことから、子供との時間を大切にすることを信条としてきました。
しかし、三年前に離婚をし、新しいパートナーとの暮らしを始めました。
かつて自分がおった辛い気持ちを子供にも味わわせてしまったピエールルイージさんは、父親としての再出発の日々と、相次いで亡くなった両親への思いを語ります。
見どころ
高齢になっても周りの人々の役に立ちたいと、働き続けるバルドさん。
子供想いの父親であるピエールルイージさん。
両者とも、周囲の人々を大切に思い、自らの役割に徹する、素朴な暮らしのなかで
より良く生きることをただ目指そうとする志向がまっすぐです。
村のなかで、助け合って生きる、昔ながらの味わい深い暮らし。
そこに、癒しのもとが見つけられないでしょうか。
番組の公式サイトでは、下記のような紹介がなされています。(以下引用)
”美しく生きるということ…。
気候や風土に逆らわず、共存しながら暮らす。
先人たちが築き守ってきた伝統や文化を誇りに思いながら生きる。
人間本来の暮らしが息づく「小さな村」が今、注目されています。
海を臨む小さな漁村、山肌にはりつくように佇む村、雪に覆われた山間の寒村…。
古き良き歴史と豊穣の大地を持つイタリアで、心豊かに生きる人たち。
〝豊かに暮らす 美しく生きる〟とはどういうことなのか。
私たちが忘れてしまった素敵な物語が、小さな村で静かに息づいていました。
番組ではありのままの時間の流れを追い、
村人たちの普段着の日常を描いていきます。”
おわりに
仰々しくないかたちで、美しく生きるとはどういうことなのかを深く考えさせる、静かに落ち着いた番組です。それでいて、ぜんぜん説教臭くありません。
美しい風景が楽しめるところも、幸せポイントです。
自分の生き方をもう一度見つめなおすことができ、癒しを得られます。
幸せについて考え直すきっかけになるこの番組を、強くおすすめします。
文章:curando